やんばる調査観察会における問題とその対応に関するお知らせとお願い

 去る2015 年6 月6 〜 7 日に,沖縄県国頭村「やんばる学びの森」で開催された日本甲虫学会調査観察会において,参加者の一部学会員による,以下のような不適切な行為がありました.これは,同施設の敷地内は昆虫採集禁止であると前もって通知していたにもかかわらず,昆虫類等を採集し,また同施設に宿泊する一般客にも迷惑を及ぼしたというものです.

 調査観察会は学会行事として実施したものであり,主催者側の監督不十分により,学会および一般学会員にご迷惑をおかけしたことをまずは深くお詫び致します.また,学会員各位におかれましては,今回の事態を重く受け止め,あらためて採集現地における,昆虫採集に関連する法令及び規則を厳守することを求めます.それとともに学会員の採集行為が,対象となる自然環境や,付近の人々の生活環境に悪影響を与えることのないよう,十分な注意を願います.

 最近,国頭村内では,春季のオキナワホソコバネカミキリ,秋季のオキナワマルバネクワガタの発生時期に,本土からの多数の採集者が集中し,地元での甲虫採集者に対する感情が非常に悪化していると聞き及んでいます.このような状況の中での調査観察会の一件が,国頭村一帯における学会の印象を著しく悪くしたことは否定できません.

 こうした事態が再び生じたときは,昆虫の採集,研究に対する現地の感情がさらに悪化し,各地の自治体による採集の規制措置などにつながる可能性があります.学会員各位におかれては,今後いっそうの良識ある調査・採集活動を期待いたします.

 最後に,日本甲虫学会は,学会員の昆虫採集によって,対象となる自然環境や周囲の生活環境に負の影響を与える行為を厳に戒めるものであり,このような行為を擁護することは決してありません.本学会としては早急に採集に関するガイドラインを策定し,学会員各位にその順守をお願いする所存です.

2015 年11 月30 日

日本甲虫学会 会長 野村周平
同 自然保護委員長 荒谷邦雄


日本甲虫学会・和文誌に掲載。さやばね New Series (20): 61.