大阪例会 Osaka
大阪例会冬季例会開催のお知らせ
大阪例会は2024 年度第3回より、会合場所をご提供していただいている大阪市立自然史博物館との共催となりますので、会員外の方も講演はご参加いただけるようになりました。
2024年度第3回の大阪例会は,対面とオンラインのハイブリッドで行う予定ですパスワード等は会員限定ページへ).皆様のご参加をお待ちしております.さやばねニュー・シリーズNo.55でのお知らせに訂正があり、講演は2題となりました。また講演1は、演者のご都合によりオンラインでの講演となりました。新型コロナは,インフルエンザと同様の扱いとなるため,マスク着用は個人の判断に任せますが,発熱,喉の痛みなど自覚症状がある方は参加をご遠慮ください.
日時:2024年12月14日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
HP: http://www.omnh.jp/ 通用門よりお入りください.
プログラム:10:00~12:00自由懇談・同定会
12:00~13:00昼食
13:00~13:30会務報告会・例会事務連絡
13:30~14:30講演1
14:30~15:30講演2
15:30~16:30話題提供または自由懇談
16:30 閉会
17:00~ 懇親会(会場:大阪メトロ天王寺駅周辺を予定)
なお、対面のみとさせていただきます
(講演1)久松 定智氏(人間環境大学環境科学部) |
講演:「日本のケシキスイ科(コウチュウ目)最近の話題」 |
要旨:演者はケシキスイ科を中心に,微小甲虫の分類学的研究を行ってきた.その中で ケシキスイ科について,特に日本の分類群について,原色日本甲虫図鑑III(保育社)以降に記録・記載された種を中心に,紹介する.ケシキスイ科は微小であること等から,その寄主植物などの基礎的生態も判明していない種が多い.いくらかの種について,近年明らかになった生活史情報そのほか,ケシキスイ科に関する最新の話題を提供する. |
(講演2)安藤清志(愛媛大学農学部)・山迫淳介(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)・Maxim Nobozhenko(Caspian Institute of Biological Resources of the Russian Academy of Science) |
講演:「ホソヒゲナガキマワリ属の2亜属間の形態的相違について」 |
要旨:ホソヒゲナガキマワリ属(Ainu LEWIS, 1894)について検討を行った.ホソヒゲナガキマワリ属はおもに日本と台湾で知られている属であるが,YUAN et al. (2018)は東南アジア産のErulipus属を本属の亜属と扱って,ホソヒゲナガキマワリ属に2亜属が含まれるとした.一方,MASUMOTO & AKITA (2021)はYUAN et al. (2018)の意見を精査して,AinuとErulipusの両亜属を区別できないものとして亜属の創生を否定した.属の取り扱いが二つに分かれる意見の中で,演者らはこれらの亜属を含む近縁属の再検討を行った結果と知見を公表する. |
会場へのアクセス
大阪市立自然史博物館
http://www.omnh.jp/
◆ 甲虫学会例会参加者入り口(入館料不要)
◆一般入館者入口(要入館料)
・地下鉄御堂筋線「長居(ながい)」駅(●) 南改札口3号出口から東へ約800m
・JR阪和線「長居」駅(●) 東出口から東へ約1km
・近鉄南大阪線「矢田」駅(●) 西へ約1.8km
・大阪市バス4系統、24系統、66系統「長居東」停留所(<●)
●大阪例会担当 澤田義弘
E-mail sawada-f@gol.com
大阪例会 今後の予定
大阪例会の記録
日時:2024年9月14日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
プログラム:10:00~12:00自由懇談・同定会
12:00~13:00昼食
13:00~13:30会務報告会・例会事務連絡
13:30~14:30講演
15:20~16:10 希望者による話題提供
16:30 閉会
17:00~ 懇親会(場所:大阪メトロ天王寺駅周辺を予定)
※対面のみ
演者:河上 康子氏(大阪府高槻市)
講演:「ダンダラテントウの斑紋型多型―地理的な変異,季節的な変異とその要因をめぐって―」
要旨:ダンダラテントウはごく普通種のテントウムシで,古くは関西地方以北には分布
していなかった.また,沖縄以南では地色の赤いタイプが生息し,九州以北では地色の黒いタイプが分布している.この20年余の演者らによる標本調査と野外調査,遺伝子解析の結果からわかった.このテントウムシが分布を北上した経緯と斑紋
型多型との関係について紹介したい.
演者の河上氏は20年来,ダンダラテントウの斑紋についてご研究されており,今回の講演では学位論文の内容を紹介していただいた.研究機関や個人研究者が所蔵しているダンダラテントウの国内・国外標本を用いて研究がすすめられた.ダンダラテントウの鞘翅には斑紋多型があることが佐々治博士によって報告されており,演者は地理的な変異について,23タイプの斑紋型,体長,雌雄,産地のデータから4タイプの遺伝型に分類し,検討を行った.緯度が高いほど黒い個体が多く,低緯度ほど赤い個体が多いことが分かり,気候に適応していることが要因の1つと考えられた.また斑紋頻度では秋世代から越冬世代に黒い型(二紋型)が多くなるのは越冬中に赤い個体が斑紋型に依存した死亡率が,越冬 世代から春世代に赤い型(四紋型)が多くなるのは 斑紋に依存した産卵数や孵化率の違いが関与している可能性があったため,これらについても検討した.結果,産卵数は世代による差はなかったが,孵化率は越冬世代で赤い型が高く,春世代に赤い型が多くなることに矛盾しないことが分かった.その他にも分布北上についても調査されており,韓国にダンダラテントウが分布しないことから,九州から対馬に移入したと考えられるそうである
第40回大阪例会(2024年度春季例会)
日時:2024年3月23日(土)10時~16時
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
参加者:29名(オンライン参加者:9名)
プログラム:10:00~12:00 自由懇談・同定会
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30 会務報告会・例会事務連絡
13:30~14:30 講演
演者:今田 舜介 氏(滋賀県立琵琶湖博物館)
講演:「琵琶湖博物館の昆虫コレクションの概要」
要旨:演者のこれまでの研究を踏まえて、ヒゲナガゾウムシ科の研究の現状について解説
する。また、演者が今年度より着任した滋賀県立琵琶湖博物館について、そのコレクショ
ンの概要を解説する。
15:20~16:10希望者による話題提供
16:30 閉会
17:00~ 懇親会(場所:大阪メトロ天王寺駅周辺)
※対面のみとさせていただきます
演者の今田氏はヒゲナガゾウムシ科の研究をされており,現在は琵琶湖博物館に所属している.まず琵琶湖博物館を含む滋賀県内の昆虫標本の所在地について,これまでにあった博物館相当施設のものも含めての昆虫コレクションについて説明をしていただいた.琵琶湖博物館ではチョウ,トンボ,オサムシのコレクションが多く,これは村山修一氏と布藤美之氏のコレクション,蜻蛉研究会コレクション,滋賀オサムシ研究会コレクションによるものである.約100年前の標本もあり,滋賀県の昆虫コレクションとしては貴重なものである.このあと,演者が研究されているヒゲナガゾウムシ科の研究の現状についてお話をいただいた.ヒゲナガゾウムシ科は現在,世界から3861種が記載され,ヒゲナガゾウムシ亜科,ノミヒゲナガゾウムシ亜科,タネヒゲナガゾウムシ亜科の3亜科が認められている.そのうちヒゲナガゾウムシ亜科が最も種数が多く,日本ではタネヒゲナガゾウムシ亜科を除く2亜科64属181種6亜種が記録されている.しかしながらヒゲナガゾウムシ科の分類研究は,採集は容易であるものの,これまでの研究では1個体だけの記載が多く,図や検索表がなく,同定の手掛かりが少ないことなど,研究を妨げている要因が多く存在する.これらの要因により,属の定義が曖昧な場合もあり,再検討の余地は十分にある.さらにABS問題やコロナ禍,採集規制の強化などにより研究が妨げられている状況である.しかしながら分類学的研究に加え,生態について,寄主利用や成虫と幼虫の食性など未解明の部分も多く,まだまだ研究の余地があるグループであることが分かった.演者を筆頭に今後の研究の発展を期待したい.
第39回(2023年度第3回例会)
日時:2023年12月9日(土)
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
参加人数:36名
プログラム: 10:00~12:00 自由懇談・同定会
12:00~13:00 昼食
13:00~13:15 会務報告・例会事務連絡
13:15~15:15 講演
15:20~16:10 話題提供ののち解散
演題:「紀伊半島の地下浅層性・地中性ゴミムシについての最近の知見 ?地中トラップを用いた調査?」
演者:芦田 久 氏(近畿大学生物理工学部)
要旨:オサムシ科のチビゴミムシ亜科やヒラタゴミムシ亜科には地下浅層?地中に生息する種が多く知られている。洞窟や廃坑のない地域では、沢沿いなどに堆積した土砂を掘ることで彼らの生息域に到達することが可能であるが、重労働であるうえ景観への影響も少なくない。そこで、より負荷の少ない調査方法として地中トラップが推奨される。 本講演では、地中トラップ採集法について解説し、紀伊半島における地下浅層性・地中性ゴミムシについての最近の調査結果について紹介する。
(感想)まず「芦田の昆虫史」と銘打ち、氏の自己紹介からお話が始まった。芦田氏は現在、近畿大学生物理工学部食品免疫学の教授でいらっしゃるとともに、関西チビゴミ研究会創立時からのメンバーであり、チビゴミムシ類を中心とした研究を行っている。そこで今回の講演では、これまで研究してこられたチビゴミムシ類の中でも、紀伊半島の特産であるKusumia属をメインとして、紀伊半島に産する地下浅層性・地中性ゴミムシ類についてお話をいただいた。紀伊半島にはチビゴミムシ亜科のStygiotrechus属、Kusumia属、Trechiama属、ヒラタゴミムシ亜科のJujiroa属、Trephionus属が知られている。これらの外部形態における分類形質や紀伊半島における分布情報も図示していただき、非常に面白いものであった。地下浅層性・地中性であるため、採集方法としては、日本甲虫学会員である徳島の吉田氏が考案した地中トラップを利用して採集をされているが、深さはどれぐらいがよいのか、回収までの時間が長いため保存液は何がよいのか、ベイトを市販のお茶パックの小袋に入れるなど、工夫が必要であるというお話もいただいた。まだまだ課題も残っているとのことで、この講演でベテランの研究者が奮起し、若い研究者が増加してほしいと思った。
第38回(2023年度第2回例会)
日時:2023年9月23日(土・祝)13時~16時
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
参加者数:22名
プログラム: 13:00~13:30 会務報告会・例会事務連絡
13:30~16:30 同定会
16:30 連絡等ののち,閉会
これまでのコロナ感染防止対策を取りながら行われた.秋季例会においては,昆虫学会年次大会の後であることや,インセクトフェアの開催日がかぶるなど,演者の決定ができず,また演者の準備時間を考慮し,残念ながら今回は講演をあきらめ,ハイブリッドにせず,出席者による同定会や情報交換を行った.
第37回(2023年度第1回例会)
日時:2023年3月19日(日)13時~16時
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
参加者数:25名、オンライン6名の合計31名
プログラム: 13:00~13:30 会務報告会・例会事務連絡
13:30~14:30 講演
15:40~ 連絡等ののち、閉会
講演:「ジョウカイモドキについて」
演者:池田 大 氏(橿原市昆虫館)
要旨:マイナーな甲虫だが、多様な性的二型、変わった生態をもつジョウカイモドキについて紹介します。
(感想)
演者の池田氏は現在橿原市昆虫館に勤務し、ジョウカイモドキ類の研究を行っている。今回のご講演では、まずジョウカイモドキ類はどんな甲虫なのかということのご紹介をしてくださった。ジョウカイモドキ類は岩礁や砂浜、樹上やマングローブ、花上で観察されており、ジョウカイモドキ類の食性は、成虫では花粉食や肉食、幼虫では肉食と腐肉食ということが知られている。海外では訪花しているジョウカイモドキを食べる鳥などの天敵がいることもお話しいただいた。次に、以前は科に含められていたものの、ホソジョウカイモドキ科 Prionoceridae とコケシジョウカイモドキ科 Rhadalidaeが独立科とされるなど、高次分類について簡単にご説明いただき、ジョウカイモドキ科の体系や種についてもお話しいただいた。ジョウカイモドキ科内の分類形質として、オス交尾器の内袋骨片が有用形質と考えられ、4つのグループに分けることができるそうである。オサムシ類やルリクワガタ、カミキリムシなど、多くの分類群にわたりオス交尾器の内袋の骨片や膜質部の形状などが有用な形質と報告が多いが、微小な甲虫類の内袋などについても内袋反転や膜質部固定の手法の確立など挑戦してみてはいかがだろうか。
第36回 (2022年度第3回例会)
日時:2023年1月15日(日)13時~16時00分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)Tel. 06-6697-6221
参加者数:20名、オンライン16名の合計36名
プログラム: 13:00~13:30 会務報告会・例会事務連絡
13:30~15:30 講演
15:40~ 連絡等ののち、閉会
講演:「日本産ツブゲンゴロウ属を対象とした最近の研究動向」
演者:渡部晃平氏(石川県ふれあい昆虫館)
要旨:ゲンゴロウ科は近年全国的に激減している。ツブゲンゴロウ属はゲンゴロウ科の中でもレッドリスト掲載種の割合が高い分類群であり、保全に必要な情報の蓄積が求められている。本講演では、演者が近年精力的に取り組んできたツブゲンゴロウ属の研究事例を紹介する。隠ぺい種の発見と分類学的な整理、生活史の解明に不可欠な飼育方法の開発、同飼育法を用いた未成熟期の生活史の記載、幼虫の記載など、標本だけではなく生活史にまで踏み込んだ一連の研究は、他の分類群の研究にも参考になると考えられる。
(感想)
演者は水生昆虫を研究されており、現在石川県ふれあい昆虫館の学芸員で、研究や展示など精力的に行っている。今回の講演では、まず石川県ふれあい昆虫館での業務を紹介してくださり、それに伴って水生昆虫、とりわけマルコガタノゲンゴロウや、ラオス産のスジゲンゴロウ、タイワンオオミズスマシなどの飼育方法やさやばねニューシリーズなどに寄稿いただいた幼虫の標本の作成方法などをお話しくださった。これらの話の後、ツブゲンゴロウ類の研究の現状などについてお話しいただき、幼虫における分類形質や生息環境などご教示いただいた。特に、幼虫期における体色の違いなどについて非常に面白い成果もお話しいただいた。しかしながら水生昆虫の生息域の減少や環境の変化が著しく、環境保全がいかに重要であるかということも考えさせられた。
第35回大阪例会(2022年度秋季例会) 日時:2022年9月24日(土)13時~16時
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)
参加者数:19名
プログラム:
13:00~13:30 会務報告会・例会事務連絡
13:30~15:30 講演
15:30 閉会
・講演:「大阪市立自然史博物館における甲虫目標本の現状と今後の収集の方針」 ・演者:藤江隼平(大阪市立自然史博物館) 要旨:同博物館には甲虫目の標本が100万点以上収蔵されている。この膨大なコレクションを基盤として、同博物館は関西における甲虫の研究拠点となってきた。研究材料となる標本資料を適切に保存していくことは、同博物館の重要な使命の一つである。しかし、収蔵庫のスペースは既に満たされ、新しく標本を受け入れる余地は残されていない。また、夥しい量の未整理標本を整理する作業を、外来研究員やボランティアの方々などにご協力をいただき継続しているものの、整理が完了するのに相当の年月がかかる状態である。本講演では、同博物館の甲虫目標本の収蔵状況の概要を紹介し、現状を踏まえた今後の標本収集の方針について述べる。 |
演者は2022年4月に大阪市立自然史博物館を退職された初宿氏の後任として勤務することとなり、もともとは寄生蜂類の研究を行いつつ、甲虫類の調査もされている。今回は着任した大阪市立自然史博物館の収蔵庫・および甲虫類の標本の整理状況について、お話しいただいた。同博物館は、関西近郊のアマチュアの方も多く出入りし、それらの方々が収集した標本群を寄贈することも多くあるため、今後どのように受け入れていくかなどの展望もお話しいただいた。同博物館は昆虫標本も含めて膨大な標本を収蔵しているが、特にコウチュウ目は旧日本甲蟲学会の活動拠点でもあったため、ホロタイプなども多く含まれている。また、それぞれの分類群の専門家が原則ボランティアで整理していることもあり、ある程度は整理が進んでいるものの、偏りが生じている。ハンミョウやエンマムシ、コメツキムシ、ナガクチキムシなど人気のある分類群や進んで整理していただいた専門家が扱ったグループは進んでいるものの、カミキリムシ・ハムシ・ゾウムシといった分類群やマイナーなグループ、とりわけヒラタムシ上科などは整理が進んでいない。こういった甲虫標本の整理を進めるためには、体制作りや標本を活用できる環境を整える必要があるとのことであった。体制作りに関しては、現在協力者を募集しているとのことである。次に多くの博物館や個人でも同様であるが、収蔵スペースがひっ迫しており、スペースを増やすことは不可能に近くなってきていること、近年はABS問題に抵触するケースが頻出しており、受け入れられない場合も出てくる恐れがあることを鑑みて、受け入れに関するコレクションポリシーを明確にすることも重要であると考えておられ、現在策定中とのことであった。今後、寄贈を予定されている方は、寄贈標本の取捨選択や整理してから寄贈することが望ましいと考えられる。(澤田 記)
2022年春季例会の記録
日程:2022年3月26日(土)10:00~16:30
場所:大阪市立自然史博物館・講堂(大阪市東住吉区長居公園 1-23)
参加者数:20名
講演1:「話題提供:海外のムクゲキノコムシについて」 演者1:澤田 義弘(株式会社ハウスドクター環境衛生事業室研究室) |
演者はムクゲキノコムシ科の研究者であり、自身で採集したものや、多くの甲虫研究者から譲り受けたムクゲキノコノムシ科の標本を所有している。講演では、現在の分類体系について、最近提唱されたNossidiinaeを含めた3亜科6族の説明をした。そしてその体系に合わせて韓国、中国・台湾、ベトナム、ラオス、タイ、マレーシア、インドネシア、パラオ、オーストラリア、モンゴル、ネパールなどの標本を紹介し、各国のムクゲキノコムシ相の一端を紹介した。韓国では6属13種が確認されており、日本のムクゲキノコムシとの共通種も多く見受けられた。それ以外の国では、主に落葉ふるいなどで得られているが、種数が少なく、熱帯での落葉層が貧弱なため、個体数が少なく、熱帯での採集方法の改良も必要と考えられる。実際、東南アジアでのFITでは旧北区ではあまり得られていないホソムクゲキノコムシ族 Nanoselliniが多く採集されている。今後はABS問題もあるため、外国の研究者と協力をして、ともに発表することを視野に入れている。 |
講演2:「日本甲蟲学会・日本鞘翅学会・日本甲虫学会で撮影された写真から学会の歴史を振り返る」 演者2:初宿成彦(大阪市立自然史博物館) |
初宿氏はこれまでに、大阪市立自然史博物館で日本甲蟲学会から保存されていた写真の整理をし、これまでの学会や大会で撮影された人物や当時の時代背景を簡単に説明していただいた。旧日本甲蟲学会での様子や、鞘翅学会との合同大会、その時に実施された同定会や懇親会の様子なども保存されており、すでに鬼籍に入られた方々も含めて、当時の活発な活動が垣間見え、大変興味深く拝聴した。対面で例会を実施したということもあり、参加者からは非常に懐かしい方々の写真を見せていただいてありがとう、と感謝の言葉が送られていた。オンラインでの開催を余儀なくされている昨今、再びこのような集いができることを望んだ。 |
2021年度オンライン大会パブリックビューイング
大阪例会では、2021年度年末例会を開催せず、日本甲虫学会第11回大会と日本昆虫分類学会第24回大会、昆虫分類額若手懇談会の合同大会のパブリックビューイングに代えさせていただいた。パブリックビューイングは、大阪市立自然史博物館のネイチャーホールをお借りして、手指の消毒、マスクの着用、距離を取る、などの感染予防対策を徹底して行いながら2日間とも開催した。1日目の参加者は11名が参加していただけた。2日目は1日目と同じ参加者に1名加わり、12名の参加となった。オンラインでの発表であり、皆さん熱心にご覧になっていた。2日目のオンライン同定会は、依頼される方が事前に写真を撮影し、それを専門の方に見ていただくこととなっていた。詳細が分かりにくいものもあり、実物を見るのが一番であるが、リモートで行うことができるメリットもあり、アプローチの方法を確立すれば、よい同定会にできるのではないかと考えさせられた。初めての試みで、やりにくい面もあったと思うが、取りまとめてくださった都立大の吉田氏には、感謝を申し上げたい。この同定会の後は学会賞の受賞講演で、Ivalia属の琉球列島からの新種についての講演があり、生態などいろいろと興味深く面白い講演であった。最後に行われた分科会は、1つに絞ることができないため、パブリックビューイングの参加者は参加できないものとさせていただいた。今後は、パブリックビュ―イングで分科会にも参加できるような方法の模索をしていかねばならないと考える。最終的にはコロナが終息し、対面で大会ができるような時期が早く来ればいいのだが。(澤田 記)
第31回大阪例会(2021年度春季例会) http://coleoptera.sakura.ne.jp/members-only.html
日程:2021年3月27日(土)
場所:大阪市立自然史博物館・講堂(大阪市東住吉区長居公園 1-23)
参加者数:来場者15名、Zoomによる参加者13名、合計28名
講演1:「和歌山県に於ける後翅の退化したゾウムシ類の分布状況」
演者1:的場 績 氏(和歌山県)
講演2:「調査観察会開催地:京都丹後半島のご紹介」
演者2:黒田 悠三氏(京都府)
・プログラム
10:30 ~ 12:00 大阪例会運営幹事会
12:00 ~ 13:00 昼食、休憩
13:00 ~ 13:20 会務報告会・例会事務連絡
13:20 ~ 14:20 講演1
14:30 ~ 15:30 講演2
16:00 閉会
2020年春季例会でご発表いただく予定であった的場氏の講演は、和歌山県における後翅の退化したゾウムシ類の分布状況についてご講演いただいた。後翅が退化したゾウムシには、高山性・海岸性、土壌性、オビモンヒョウタンゾウムシ類などのグループがあり、それぞれに対して理由を的場氏が仮説を立てていた。ご研究中のことでもあるため、ここでは言及しない。今回発表された和歌山県は紀伊山地、河川、海岸など多くの生息環境があり、調査のためにアクセスすることが困難な環境もあるため、調査できた地域での発表となったが、対象グループとしてはチビヒョウタンゾウムシ属、ツヤツチゾウムシ属、ツチゾウムシ属、ウエノヒョウタンクチカクシゾウムシ属などの分布状況をご教示いただき、オチバアナアキゾウムシ属など海岸沿いにのみ生息するものなどが紹介された。様々な環境要因が障壁となって興味深い分布をするグループや、特異な種なども見られた。今後は分類が進んでいないグループなど、分類学的な研究が進み、分布状況が明らかになることを期待したい。
休憩の後に、2020年度に開催予定であった京都丹後半島の調査観察会を今年度に開催する予定として、京都府の黒田悠三氏に丹後半島の調査地についてご紹介いただいた。開催予定地である京都丹後半島は京都府北部にあり、日本海に突き出ている。自然が豊かな地域でもあり、調査範囲と考えている高山(丹後半島の最高峰)には、ブナ林があり、その林道を調査観察する予定である。ただし、コルリクワガタ類などは採集禁止となっているため、この点については参加者にはご注意いただきたい。月齢が微妙なところであるが、ライトトラップを行う時間には、月が西に傾いており、実施は可能であると考えられる。黒田氏が仰るには、京都府北部には甲虫研究者が少ないため、地域ファウナの解明に貢献していただきたいとのことなので、多くの会員の方に参加をしていただきたいと考えている。ただ、新型コロナウイルス感染状況により、今後の情勢を考えながら進めていくので、随時HPをご確認いただきたい。
なお、当日のようすはYouTubeにて会員限定で下記URLから視聴ができる。
http://coleoptera.sakura.ne.jp/members-only.html
第27回例会(2019年秋季例会) 日時:2019年9月28日(土) 10時~16時40分
参加者数:45人
講演:「ようこそミャンマーへ -豊かな自然と優しい人々-」 演者:日下部良康(神奈川県横浜市) 演者の日下部氏は、もともと蚊の吸血誘引物質の研究をされていたが、カミキリムシに魅せられリンゴカミキリの研究など、カミキリムシについて広く研究されている。今回の講演はミャンマーでの調査を基に、現在までの研究についてご講演いただいた。おもにChin州で調査をされていた。ミャンマーは基本的に樹木や昆虫が伐採禁止であり、許可を取って、さらに入山するときにはガイドを必ずつけなければならないとのことであった。現地調査の結果ではルリボシカミキリやベニカミキリ、イエカミキリ、トラフカミキリなど様々な写真を見せてくださった。現地調査の成果報告の後は、ミャンマーに博物館施設がないことや、環境教育などについてお話しいただいた。標本を展示している施設はあるが、保存する施設がないことと、キュレーターもいないことから、演者と政府関係者のご尽力によって博物館建設が進み、来年度完成することとなっている。また博物館ができれば、ミャンマーの自然がどのようなものであるかをミャンマー国民に普及することができることに加え、環境教育にも役立つことができる。ラオスでも環境教育を行った経験があり、当会会員である斎藤秀生氏が演者と相談をし、ミャンマーの初等教育の児童たちに対して環境教育を行うことも実現できたそうだ。ただ簡単な図鑑を作成した折に、「甲虫」、「蝶」、「蜂」など大雑把な名前しかなく、種に対する名前がミャンマーになかったため、一苦労したとのことであった。今後は博物館の完成と資料の保存・整理、環境教育にも研究者が協力することができれば、ミャンマーの自然史教育が発展していくだろうと思われた。
第26回例会(2019年春季例会) 日時:2019年3月30日(土) 10時~16時40分
参加者数:50人
講演1:「エンマコガネの最近の分類について」 演者:越智輝雄(大阪府豊能町) 要旨:東洋区に分布するエンマコガネの最近の分類傾向と、新しく創設された新属、新亜属について解説します。 講演2:「日本産アミメボタル族について」 演者:松田 潔(兵庫県宝塚市) 要旨:現在、日本産ベニボタル科Lycidae、アミメボタル族 Metriorrhynchini は4属に分類されています。これら4属のベニボタルの分類と成虫の示す色彩パターン、本族に所属するクロベニボタル属 Cautires の分類学上の問題点などについて紹介をさせていただきます。
第1演者の越智さんには、プレゼンテーションに使用する図版を配布資料としてご用意いただき、参加の方にはわかりやすい講演でした。旧北区のマグソコガネ類と糞虫類に関しては、1963年のBalthasarが利用されていますが、今回の講演では♂交尾器の形状に基づいて各属の特徴などを講演いただきました。第2演者の松田さんには、まずベニボタル科の生態などについても触れていただき、演題でもあるアミメボタル族についてのご説明をいただきました。アミメボタル族には、Caurites属、Matsudanoeus属、Xylobanus属、Xylometanoeus属が含まれ、成虫の示す色彩パターンなどをきれいな写真で説明していただきました。また、多くの種を含むクロベニボタル属 Caurites の分類学上の問題点について交尾器を用いて説明をしていただいた。
第25回例会(2018年年末例会) 2018年12月8日(土)
参加者数:44人
最初のご講演は小林卓也さんによる「ツツキノコムシの機種利用」と題してご講演いただいた。小林さんは京都大学でキノコ食の昆虫を研究し、同大学院でクジラタケの昆虫群集を経て、現在ツツキノコムシの寄主利用を研究されている。ツツキノコムシが利用する主なキノコはキクラゲ類、シハイタケ類、キコブタケ類、カワラタケ類、サルノコシカケ類であり、木材腐朽性のキノコが多く利用されている。ツツキノコムシ科は2亜科に分けられ、ほとんどがツツキノコムシ亜科に含まれる。亜科内の分類には前脚脛節の棘数、位置などで分けられるが、寄主ホストによって利用しているグループが異なっていることが解明されつつある。ただ、寄主キノコの分類が進んでいないことから、少し困難な面もあるということであった。寄主との関わり合いがどのようなものになっているのか、寄主特異性を持つ種もいるのか興味の尽きない話題であると考える。 続いてのご講演は山本勝也・水野弘造氏によるヤマトオサムシダマシの保全活動の報告をいただいた。ヤマトオサムシダマシはかつてよく見られたが、都市化に伴い、乾燥した古民家の土間などといった生息環境が減少し、環境省レッドリストカテゴリー準絶滅危惧(NT)、大阪府レッドリスト2014絶滅危惧Ⅱ類(VU)となっている。あまり見かけられない甲虫となりつつあったことから、2015年より大阪府茨木市の個体群を大阪自然史博物館の一角をお借りして保全活動を行うことになった。保全のために整備された環境が良かったと考えられ、順調に新成虫などが見られ、増加している。また史前帰化種の可能性があったが、甲虫学会年次大会での情報収集や文献による情報収集などにより在来種説の可能性も出てきているとのことであった。今後の研究に期待したい。 最後は安藤清志氏によるゴミムシダマシ科のマルムネゴミムシダマシ属Tarpelaについてのご講演であった。中南米の種を基に設立されたTarpela属を頭部・鞘翅末端・腹部末端節・雌雄交尾器の形態などから再検討された。この結果、日本産のTarpela属とされてきたものは、いくつかの属や亜族に含まれることが判明し、本研究では日本にTarpela属は分布しないという結果になった。時間が少なく十分な説明や議論ができなくなってしまったのが、演者や参加者に対して大変申し訳なく思っている。 (澤田 記) |
第24回例会(2018年秋季例会) 2018年9月29日(土)
「三重県のマヤサン系オサムシ」前川和則氏(三重県鈴鹿市)
参加者数:35名
演者の前川氏は、鈴鹿市に在住で、おもに三重県における甲虫類の調査・研究を行っている。今回は三重県のマヤサンオサムシ系の分布知見をお話しいただいた。資料としてドイツ箱(大)2箱に地形図を敷き、各所で見られるマヤサンオサムシ系の標本を入れ、わかりやすく示したものも持参して下さった。
まず三重県に分布するマヤサンオサムシ系の種類を説明してもらい、三重県がオサムシの一大分化県であることを説明していただいた。オス交尾器内袋を反転し乾燥固定する方法を苦労話も交えて説明していただき、中に紫外線で硬化するレジン樹脂を入れてはどうかとか、この点についても議論があった。また前川氏が採集したものの中には、他の地域とやや異なるものが見られたため、今後の研究が待ち遠しい秘話も少しお話して下さった。<澤田:記>
第23回例会(2018年春季例会) 日時:2018年3月24日(土)
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:35名
「国産タテヅノマルバネクワガタ種群の生息現状」
田中良尚(伊丹市昆虫館 学芸員)
演者の田中氏は、伊丹市昆虫館の学芸員で、十数年来マルバネクワガタ類の生息状況を調査されている。マルバネクワガタ類は日本に4種確認され、いずれも環境省レッドリストに掲載されている。演者により生態が明らかになりつつあるが、いまだ不明な部分も多い。また種の保存法による希少野生動植物に指定され、採集・捕獲・殺傷が禁止されているが、西表島には規制がなく採集者が殺到していることや、環境の劣化による生息数の変化などをご講演いただいた。規制による採集禁止に関しては、その他の昆虫類・害虫類の調査にも関わってくるため、考えさせられる点も多かった。<澤田:記>
第22回例会(2017年年末例会) 日時:2017年12月9日(土)10時~16時
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:37名
・初宿成彦「外来種ムネアカオオクロテントウの分布拡大」
・澤田義弘「工場内や施設内で採取された甲虫類」
・林靖彦「メナシチビシデムシの分布」
第1演者の初宿氏は、大阪市内における甲虫相の調査をしており、2016年に国内へ侵入していることが明らかになったムネアカオオクロテントウ(原産:中国南部・台湾)の分布についてご講演いただいた。ムネアカオオクロテントウは2014年に関東で見つかり、その後拡大している。クズにつくマルカメムシを盛んに捕食することが知られ、関西では今のところ限定的であるが、2014年には侵入していた可能性がある。今後分布を拡大することが懸念されていることから、見かけた場合、捕獲した場合には情報を送付してほしいとのことであった。
第2演者の澤田は職場でさまざまな工場のモニタリングをしており、粘着板を用いたライトトラップ及び歩行性昆虫類用トラップの点検をしている。それらトラップで抽出された甲虫類について、多くの科(67科)にわたって捕獲されていることを報告し、継続的ではないものの、外国からの輸送により侵入している屋内性の甲虫について述べた。
第3演者の林氏は国内(中部地方、対馬)で採集されたメナシチビシデムシ Scyaphyes属 について、分類学的位置、形態と分布についてご講演いただいた。Scyaphyes属は日本から2種が確認されており、未記載種が1種含まれる。中部地方からは地中トラップで、対馬ではモグラの坑道に仕掛けた犬糞トラップで得られている。今後の研究によって種の分布が解明されることは楽しみである。<澤田:記>
第21回例会(2017年秋季例会) 日時:2017年9月23日(土)10時~16時
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:33名
講演:「ミジンムシ科の研究の現状」
古川恒太氏
ミジンムシ科Corylophidae はその名の通り微小な甲虫で、多くの種は体長が1mm程度である。これまでの研究では種レベルの分類・系統に関しての研究は少なく、Bowestead (1999)などの高次分類体系についての研究が進んでいる状況である。演者は日本産ミジンムシ科の分類・系統について研究を行ってきた。講演では、まずミジンムシ科の研究状況や形態についての解説をしていただいた。続いて属間関係を形態・DNAによる系統関係を見た結果をお話しいただき、採集方法や解剖の手法などもお話しいただいた。ムクゲキノコムシ科と同様に、微小ゆえにメインに採集している方はあまりいらっしゃらないとは思うが、多様な分類群で、今後の研究が楽しみである。(澤田)
第20回例会(2017年春季例会)
日時:2017年3月25日(土)10時~16時
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:37名
講演:「日本産ゴミムシダマシについて」 秋田勝己氏 |
日本には約460種のゴミムシダマシ科甲虫が分布し、ゴミムシダマシは他科の甲虫に比べて、形態的な多様性が非常に高い。また、その生息環境も著しく多岐に及ぶ。演者はゴミムシダマシ科甲虫を研究されており、昨年、月刊むし社から「日本産ゴミムシダマシ大図鑑」を著した。この図鑑を作成するにあたっての苦労話などもお話しいただいた。まず、ゴミムシダマシ科の形態の多様性についてお話しいただき、ゴミムシ類はもとより、クワガタムシ科やコガネムシ科、ナガクチキムシ科などその他の甲虫群に似たものを紹介いただいた。日本産ゴミムシダマシ大図鑑にも掲載されているが、これを採集すれば自慢できるゴミムシダマシ類の珍品などの紹介や生態などもお話しいただき、最近の新種についてもお話しいただいた。人によって虫の好みはあるとは思うが、大図鑑や今回の講演でゴミムシダマシ類に興味を抱き、採集する人が増えたのではないかと思われる。 |
日時:2016 年12月10日(土)
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:41名
講演「日本産タマムシについて」 福富宏和氏(石川県ふれあい昆虫館職員) |
演者の福富氏は,石川県ふれあい昆虫館の職員で「日本産タマムシ大図鑑」の著者でもある.今回は2013年に出版された大図鑑の作成秘話や出版後の新知見や未知の事例などを講演していただいた.職業柄,子供たちに解りやすく説明をしていることもあり,講演もわかりやすいものであった.また,自慢の採集道具(11mぐらいの長竿と大口径のネット)を持参して,工夫しているポイントや採集法の実演などをしていただいた. |
●第18回大阪例会(2016年秋季例会)
日時:2016 年9 月24 日(土)10 時?16 時40 分
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:36名
講演「アメリカ大陸西海岸の甲虫について」
大原昌宏氏(北海道大学総合博物館)
●第17回大阪例会(2016年春季例会)
日時:2016 年3月26 日(土)
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:41名
講演「箕面の甲虫について ~過去の目録との比較~」
澤田義弘氏(大阪府営箕面公園昆虫館)
昔から昆虫採集のメッカとして有名な箕面。昆虫に関する資料は、
箕面公園昆虫館に勤務する演者は、
●第16回大阪例会(2015年年末例会)
日時:2015 年12 月12 日(土)
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:43名
講演「台湾カミキリ最前線」
山迫淳介氏(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)
本講演は2部構成となっており、第1部は台湾におけるカミキリムシ研究の現状をお話していただいた。台湾の地誌的なことも踏まえて、カミキリムシの分布が山脈ごとに異なり、今まで珍種や希少種とされてきたものの新記録地など発表していただいた。第2部はカミキリムシの雄交尾器の内袋や雌交尾器の膜質部などの観察手法についてご教示いただいた。およそほとんどの甲虫で使用できるのではないかと考えられたが、微小な甲虫に関しては、もう少し改良の余地があるのではないかと考えられた。
●第15回大阪例会(2015年秋季例会)
日時:2015 年 9 月 26 日(土)
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:31名
講演:「日本およびインドネシア・スラウェシ産デオキノコムシ亜科の分類学的現状」
小川 遼氏(神戸大学大学院農学研究科 昆虫多様性生態学研究室)
小川氏の昆虫研究へ進むきっかけなどをまず簡単に説明していただき、学位論文の分類学的現状を説明いただいた。続いてスラウェシ島および日本での採集風景や研究結果を、写真を織り交ぜて説明していただいた。日本を含む東南アジアでは、分類学的、系統分類学的,生物地理学的研究が遅れているのが現状であるが、小川氏の研究により、今後の研究が発展していくことが予想された。
講演後はアサヒビアケラー・アベノにおいて、懇親会を行った。
●第14回大阪例会(2015年春季例会)
日程:2015年3月28日(土)
場所:大阪市立自然史博物館・集会室
参加者数:32名
講演:「集めることから始まる学問」 吉富博之氏(愛媛大学ミュージアム)
吉富氏の昆虫や生物に対する興味の持ち始めた頃から,現在に至るまでの過程とそれぞれの成果を分かりやすく説明をしていただいた.現在行っている東南アジアの水生甲虫研究の状況,日本産マルトゲムシ科の成虫・幼虫形態,および生態的研究,ウスバカゲロウ類の観察結果など,多岐にわたってお話いただいた.
第13回大阪例会(2014年年末例会)
日時:2014 年 12 月 13 日(土)10 時~ 16 時 40 分
場所:大阪市立自然史博物館・集会室
参加者数:52名
1. 三重県のカワラハンミョウ,現状とその保全について 秋田勝己・乙部宏(三重県)
2. 御苑アオバズクの食痕・10年間 塚本珪一・西台律子(京都府)
3. 土佐の昆虫案内① 西南編 中山紘一(高知県)
4. ヤマトオサムシダマシへの興味と大阪府での保全方法の検討 山本勝也(兵庫県)・山下俊一(大阪府)
第12回大阪例会(2014年秋季例会)
日時:2014 年 9 月 27 日(土)
場所:大阪市立自然史博物館・集会室
講演「日本産オトシブミ,チョッキリの多様性と問題点」沢田佳久氏(兵庫県神戸市)
参加者数:32名
多様なオトシブミ・
第11回大阪例会(2014年春季例会)
日時:2014年3月29日(土)
場所:大阪市立自然史博物館・集会室
講演「日本のマルテントウダマシ亜科について」 生川展行氏(三重県鈴鹿市)
参加者数:32名
第10回大阪例会の記録
日時:2013年12月14日(土)10時~16時40分
場所:大阪市立自然史博物館
参加者数:40名
特別講演:
「スラウェシ島の甲虫採集」
演者:安藤清志氏○・山迫淳介氏・小川遼氏(愛媛大学農学部環境昆虫学研究室)
一般講演:
1.「みんなで学ぶ甲虫採集奥儀への道」大木裕(神奈川県横浜市)
2.「京都御苑アオバズクの食痕との9年間」塚本珪一○・西台律子(鳥類保護連盟)
3.「大阪市内の甲虫相調査 2010-13年」 安井通宏(大阪府大阪市)
「一人一話」会
第9回大阪例会(2013年秋季例会)の記録
日時:2013年9月28日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:30名
概要:午前中は、自由懇談会と標本同定会であり、各々が歓談されていた。その間(11:00~12:00)に、大阪例会運営幹事会を行った。午後は、13時より会務報告、例会事務連絡を行い、13:30~15:30まで、講演会が行われた。
●林靖彦氏(兵庫県川西市)「ハネカクシ科甲虫同定の手引き」という演題で発表された。シリホソハネカクシ類Tachyporinaeは、16属134種2亜種を含む大きな一群である。その族および属の検索表を作成され、属ごとにハネカクシのスライドをみせ、特徴をあげて概要を説明され、この検索表で属の見当はつくようになるといわれた。自前のレジメ(カラーコピー)を配布されていたので、よく分かったようでもあるが、属の同定もなかなか難しい感じであった。演者はさらに他のハネカクシ類についても同定の手引きを作成していく予定であると言われていた。今後の集大成が期待される。その後に「一人一話会」があり、新里氏の明治神宮の昆虫調査、水野氏のコメツキムシのリスト作成計画、有本氏のサビキコリの分類など多様に話が広がり、盛会となった。
例会終了後、アサヒビアケラー・アベノで懇親会を行った(17:30~19:30)。参加者15名。今回も若い人の参加があり、たいへん和やかな歓談会になった。
第8回大阪例会(2013年春季例会)の記録
日時:2013年3月30日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:31名
概要:午前中は、各自の自由懇談会と標本同定会であった。その間(11:00~12:00)に、大阪例会運営幹事会を行った。午後は、13時より会務報告、例会事務連絡を行い、13:30~15:00まで、講演会が行われた。
●藤澤貴弘氏・石井実氏(大阪府立大学大学院):演者は藤沢氏で、大学院で研究された内容の一部を発表された。「淀川河川敷における地表性甲虫群集の多様性 -河川改修工事との関係を中心に-」という演題で、2008~2009年に淀川の鵜殿、芥川合流点、仁和寺大橋、城北ワンドの4サイト内にピットフォールトラップを設定し、71種のゴミムシ類を捕獲されていた。その中でミイデラゴミムシ、オオクロナガゴミムシ、オオナガゴミムシの3種が多く、現在の淀川河川敷の特徴を示した。鵜殿ではヨシ焼き前後の種数・種構成・個体数に顕著な違いはみられていなかった。高水敷と低水敷で群衆構造が異なり、河川改修による高水敷の草地安定化、乾燥化によりゴミムシ相への影響がみられた。環境生態学的研究であり、内容は難しかったが、環境と種の多様性を考えさせられる興味深い講演であった。若干の休憩をはさんで「一人一話会」を16時30分まで行った。松田氏のベニボタル129種の分類・生活史のまとめ、初宿氏の大阪レッドデータの改訂調査など学術的な話の紹介の他、色々な話題で盛会になった。
例会終了後、アサヒビアケラー・アベノで懇親会を行った(17:30~19:30)。参加者14名。今回も若い人の参加があり、各々和やかに歓談されていた。
第7回大阪例会(2012年度年末例会)の記録
日時:2012年12月16日(日)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:49名
概要:午前中は,自由懇談会・標本同定会があり、各自歓談されていた。その間(10:30~12:00)、大阪例会運営幹事会を行った。午後は、13時より会務報告、例会事務連絡を行い、13:30~15:40まで、講演会が行われた。
●稲垣政志氏(三重県菰野町)「第一話 糞虫よもやま話」では、最初に糞虫採集に入られた経緯を話された。1998年に北勢甲虫軍団に参加され、DBN (Dung Beetle Lover’s Net)で珍品の糞虫の生態解明と、トラップ採集(羽、糞、ライト、ピットフォール、FITなど)により確実に採集できるようになった。またインターネットで現地情報と人脈を築かれていた。トビイロエンマコガネほか17種以上について、採集地や採集方法についてスライドで説明され、また家族旅行で採集された糞虫もあり、たいへん興味深い話であった。「第二話 虫屋が知っておくべきデジタル写真撮影の基本について」は、時間がなくて簡単な紹介だけであった。講演後少しの休憩をはさみ、16時30分まで「一人一話会」を行った。
例会終了後は、アサヒビアケラー・アベノで懇親会・忘年会(17:30~19:30)。参加者は30名、若い人の出席もあり、話題が多く、たいへん盛況であった。
第6回大阪例会(2012年度 秋季例会)の記録
日時:2012年9月29日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:35名前後
概要:午前中は、各自の自由懇談会と標本同定会であった。その間(11:00~12:00)に、大阪例会運営幹事会を行い、来年度の運営幹事は、全員留任することになった。午後は13時より会務報告(新里会長)、採集会報告(大木氏)、大会案内、その他の事務連絡を行った。
13:20~15:10に講演会が行われた。
●中峰空氏(三田市有馬富士自然学習センター)
「コブヤハズカミキリ族の分子系統解析 ~これからの課題に向けて~」
コブヤハズカミキリの分類学的解析の話の中に、採集方法や生態的な知見などもあり、興味深い講演であった。その後の「一人一話」会は、24名の参加。見本を実演された改良万能型FITの話もあり(烏頭尾遼一氏)、色々と話しが続いた。
例会終了後、アサヒビアケラー・アベノで懇親会を行った(17:30~19:30)。参加者17名。各自話題多数であり、盛会であった。今回も若い高校生の参加があった。
第5回 大阪例会(2012年度春季例会)の記録
日時:2012年3月24日(土)10時~16時45分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:33名
概要:午前中は、自由懇談会と標本同定会で、各自懇談されていた。その間に大阪例会運
営幹事会を行った。午後は、13時より会務報告、例会事務連絡を行い、13:30~15:30
の間、講演会が行われた。
●八尋克郎氏(滋賀県立琵琶湖博物館)第1部「カワウの巣の昆虫相」で、琵琶湖のカワウの巣の甲虫相の紹介があり、鳥の巣に生息する昆虫の生態など紹介された。第2部は「<里山のゴミムシ>のデータベースについて」話された。環境指標性甲虫としての重要性を述べ、分類・生態など知見の集積が必要であり、データベースの作成を行っていると紹介された。質問時に、分類学的な面での議論が行われた。最後に「一人一話」会を行った。
例会終了後、アサヒビアケラー・アベノで懇親会を行い(17:30~19:30)、お互いに和やかに歓談された。参加者は18名、久しぶりにたいへん若い人の出席があった。
第4回 大阪例会(2011年度年末例会)の記録
日時:2011年12月10日(土)10時~16時30分
場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23) 参加者:37名
概要:午前中は,自由懇談会・標本同定会があり、各自歓談されていた。その間(10:30~11:05)、大阪例会運営幹事会を行った。午後は、13時より会務報告、例会事務連絡を行い、13:30~15:30まで、講演会が行われた。
●河原正和氏(高槻市)「日本産フン虫の分類研究の現状と課題」。
フン虫の研究史、2000年以後に発見されたマグソコガネなど多数の新種紹介と採集のコツや苦労話などがあり、今後の課題も提示され、興味深い講演であった。その後「一人一話会」を行った。
例会終了後、忘年会・懇親会をアサヒビアケラー・アベノで行った(17:30~19:30)。参加者24名で大いに盛り上がった。
第3回 大阪例会(2011年度秋季例会)の記録
2011年10月29日(土)
講演:「朝鮮民主主義人民共和国で採集した昆虫類について」
朝鮮大学校 教育学部 助教 韓昌道
参加者:調査中。
第2回 大阪例会(2011年度春季例会)の記録
日時:2011年3月26日(土) 10時~16時45分.
場所:大阪市立自然史博物館.参加者は25名.
寒波襲来の厳しい日和,長居公園のアーモンドと早咲きの桜の花が満開であった.午前中は自由懇談会と同定会.10数名の方が標本を持参し,情報交換されていた.11時から大阪例会運営委員会.メンバーは従前の運営委員・評議員で,今後の運営について話し合い,例会を円滑にやっていくために次回の例会からお茶代・資料代として参加費200円を出席者から頂くことになった.
午後1時から会務報告会.①東京例会での運営委員会,会誌の発行状況などの報告(林靖彦評議員).②旧甲虫学会の最後の会計報告(野村英世評議員).③例会日程と案内は「さやばね」と甲虫学会ホームページを見ていただきたいと重ねてお願いした.
午後1時45分から「一人一話」大会.パワーポイントを準備された方は3名.塚本珪一氏の平安京遺跡の昆虫遺物のスライド(写真),初宿成彦氏のマキムシモドキ属Laricobius新種の紹介,新里達也氏のNecydalys lateraris再発見のいきさつ.その他の方々は口頭で話題提供された.標本は博物館へ早めに自分で寄贈するのがベストと水野弘造氏が持論を述べられた.
各地に談話会レベルのアマチュアが多くいるので,その人たちも会員になれるような学会にしてほしいと山下俊一氏が要望された.その他にも興味深い話が続き,時間は尽きなかった.
懇親会は5時半から阿倍野のアサヒビアケラーで,参加者は16名.おいしいビールと料理を賞味し,自由に歓談した.お開き直前に水野氏から「一人一話」の補足説明.「地域甲虫誌」発想の始まり,アマチュアと分類専門家の連携が重要なこと,虫屋は身近な地域の甲虫相を明らかにしていくことなど持説を展開された.正確な同定のために新しい甲虫図鑑を作ってほしいと植田謙一氏が提案され,真面目な議論となった.さらに有志の方は二次会で色々と虫談義を続けて,楽しい一日を過ごされた.(安井通宏記)
第1回 大阪例会(2010年度年末例会)の記録
2010年12月11日(土)
場所:大阪市立自然史博物館・集会室
参加者:調査中。
講演:「日本産ゴミムシダマシの珍種など」安藤清志氏
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