Coleopterological Society of Japan

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【会長挨拶】:コロナ後の甲虫学会:対面での大会、ABS講習会、学生会員の拡充

日本甲虫学会会長 久保田耕平

 新型コロナ感染症が5類感染症に移行して1ヶ月近くが経過しました。コロナ以前の日常に徐々に戻りつつあったとはいえ、多くの店舗で入口のアルコール消毒ボトルが撤去されたり、街行く人のノーマスクの割合が一気に増えたりした様子を見ると、ようやく一区切りついたのかな、と思う今日この頃です。あとは、今年が暑過ぎず、寒過ぎず、人にとっても、虫にとっても過ごしやすい年であってほしいものです。

対面での大会
 コロナ感染症の流行は学会活動にも大きな影響を与えました。2020年には離島採集自粛要請に始まって、ほとんどの例会、大会は中止に追い込まれました。2021年からはオンラインやハイブリッド形式等で徐々にイベントも復活してきましたが、当初対面で企画されていた2022年度の大会は、残念ながら秋の感染再拡大でオンラインに変更せざるを得ませんでした。もちろんオンライン会合が一般化したことによるメリットもありますが、やはり年に一度の大会くらいはぜひ対面で実施したいものです。今年度は12月2日(土)、3日(日)の2日間、吉富会員にお世話になり、日本昆虫分類学会との共同開催の大会が愛媛大学において対面で予定されています。この大会が予定通り開催され、多くの会員の皆様と再会できることを私も心待ちにしております。

ABS講習会
 コロナ後の学会のさまざまな課題についても今後順次検討してゆく所存ですが、その中の一つにABS(名古屋議定書)問題があります。外国産の昆虫(生物)標本の輸入やそれにもとづいた研究成果の公表には、原産国の法令等にもとづいた手続きが必要であるというこの国際的な取り決めに違反すると、公表論文の取り消しや処罰の対象となりうるという、重い課題です。私自身も外国産の標本にもとづく研究論文を公表する際には、原産国の共同研究者とともに慎重に検討するようにはしていますが、この制度を完全に理解しているというには程遠いレベルです。今後海外に出向く会員の方も増えることが予想されることもあり、この制度に対する理解・啓蒙を図ることは学会としても重要な課題の一つです。そこで、このたび専門家を招いて、日本甲虫学会会員向けのABS(名古屋議定書)講習会を6月18日(日)に開催することにいたしました。外国産の標本にもとづいた研究を計画されている皆様、ABSについて知りたいと考えられている皆様、ぜひ参加をご検討いただけますと幸いです。

学生会員の拡充
 昨年度の総会で会則が改訂され、学生会員の区分が本年度から「小学生以上大学院修士課程まで」から、「小学生以上大学院博士課程まで」に拡充されました。該当される方にご留意いただくとともに、もしすでに過払いがあった場合には、会計幹事までお申し出いただくようお願いいたします。

<2023年6月3日掲載>






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